表紙デザインを考える流れについて

 こんにちはこんばんは、朝香です。

今回は自分用のメモも兼ねて、普段表紙デザインを考えるうえでの流れについて書こうと思います。
私自身他人のラフやネーム、制作工程を見るのが好きなので、もし同じような方がおられましたら暇つぶしにでもどうぞ!


*3パターンのどれかから表紙デザインを考える*

表紙デザインを制作する際、まずはじめに下記の3パターンのうちどれを使いたいか考えます。
  1. 構図
  2. 加工方法や紙

デザインを考える際「こんな絵を描きたい」と思い描きはじめることはほぼありません。
基本的に【構図】【色】加工方法や紙】この中でそのとき使いたいものを決めてから制作に入ります。

【構図】から選ぶ




歴代表紙のこちらの3つは、使いたい構図を先に決めてからそれに合うような絵を考えて描いています。

  • 『クラゲの骨塚』は水中の揺らぎっぽい構図
  • 『卒哭忌モラトリアム』はボロさんが背景と同化したシルエットになるような構図
  • 『間の狂言』はカーテンの隙間から覗いた構図

をそれぞれ使いたいと思い、作りはじめました。

ちなみにですが
『クラゲの骨塚』は表紙がラメ入りで黒以外のところが光り、ザラザラしたおもしろい手触りの紙
『卒哭忌モラトリアム』はしてみたかったしっとりとした手触りのベルベットPP
『間の狂言』は皮のような手触りになった羊皮紙+マットPP

といった装丁(加工)でした。羊皮紙+マットPPがかなり好みの質感になったので、またほかでも使いたいです。


【色】から選ぶ


こちらはいつ発行できるかわかりませんが、するなら使いたい花吐き病ネタの表紙(カバーとして描いてたもの)です。

これはまず「次の表紙にこの色使いたいな」というのがあり、その後「カバーつけたいな」「タイトル箔押ししたいな」となってから、いくつか構図案を出し――という流れで制作しました。

「この灰色とピンクの組み合わせかわいい!使いたい!」と思い、使いたい色にストックしていました。

ちなみに構図や色、ロゴなどのアイデアはPinterestから得ていることが多いです。

既存の本の表紙を参考にすることはほぼなく、映画や広告ポスター、チラシ、パッケージ、ランディングページのデザインやメニューデザイン、テキスタイルデザインなどを参考にしたり、インフォグラフィックやサードウェーブっぽいデザインを使いたいな〜と思ったり、などが主です。

色は「この色使いたい!」と思ったカラパレやデザインを保存しています。


【加工方法や紙】から選ぶ




こちらの3つは、利用したい加工方法と用紙を先に決めてから構図や絵を考えています。

『朱が奪う紫』

この表紙にはファンタス赤という、表2の部分が赤い紙を使用しています。
本編に出てくるメインアイテムとして「鳥居」があったのと、ホラーというか怪異テイストな内容だったので使ってみたかったファンタスの使い所だ!と思い、用紙を先に決めてからデザインを考えはじめました。
遊び紙を赤にするか黒にするかでずっと悩んでいましたが、結果的に黒にして正解だったと思います。遊び紙の次(1ページめ)がベタメインのページだったので、そこの見開きが文字以外真っ黒になったのがよかったです。

ちなみに本文用紙には灰色の紙であるタブロを使用しています。これも使ってみたかった紙です。週刊誌とかああいう漫画の紙がちょっと灰色というか新聞用紙っぽいというか、ああいう感じあるじゃないですか。ああいう感じです。手触りがザラザラしておりとても好きな紙でした。
地が灰色の紙なので、これより以前に描いた本のトーン(グレスケ)より全体的に一段階暗い色を使用しました。


ほかふたつは未発行のものですが、

『門ボロ怪異奇譚』

これは文字や図形メインのデザインを、地が赤い紙に印刷するか、地が金色の紙に印刷し疑似箔押しをするか、というのを基礎にして考えはじめました。

結果的に金赤だと和テイストでなく中華っぽくなってしまったので、いまのところ地が赤の紙に黒と白印刷でいこうかなと考えています。
紙の色を生かしたデザインはたしかまだしたことがなかったので、いつかしたいな〜とずっと考えていました。したい。


『干天の月花』

こちらはかなり前に描いた表紙ですが、もう一冊として本になる予定はないものです。この本でしたかったメインを間の狂言でやってしまい…もしこのネタを描くとしてもこの表紙を使い一冊として発行することはないです。

この本は左側を見切れさせつつ、タイトルを紙の縦いっぱいに空押しする想定でした。
使用したかった紙は「OKフロート」もしくは「OKムーンカラー」
このふたつは空押しした箇所が平滑になり、すこし色が変わる紙です。パチカほどのインパクトはありませんが空押しに向いている紙で、パチカより控えめだからこそ大胆に、できるだけ大きく利用してみたかった加工です。

この表紙ではできませんでしたが、いつかなにかでできたらいいな〜したいな〜〜という思いはあります。いや〜〜よさそうじゃないですか…?わからんけど…。



でも利用したい紙や加工方法から表紙デザインを考えるのは、まさに紙媒体でしかできないことをしているという感じがして楽しいですね。
紙媒体だからこそできる装丁…実際に手にとって、見て触って読んで…。

個人的に二次創作でもっとも見ていただきたい箇所は内容(ストーリー)なので本文だけ読めればいいのですが、実際に手にとってでしか味わえないギミックを仕込んだりするのも現物の醍醐味なので、正直やはり紙媒体で読んでいただきたい…という気持ちがある…。


今回、本来はクラゲの骨塚の制作工程をまとめる前段階の軽い説明のつもりで書いた内容だったのですが、思っていたより長くなってしまったので一旦ここで区切ります。

実際の表紙制作工程についてはまた気が向いたらまとめたいと思います。

それでは、ここまでお読みくださった方々、ありがとうございました!

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